2013/02/20

OTIANO(オティアーノ) 草香江の新カフェ


こちらの物件で一番難航したところ
それはカウンターでした。
オーナーは無垢材を希望されましたが、4500mmx600mmという巨大なサイズに、とても予算が......
過程でデコラや集成材を検討しましたが、20坪という広さを一人で営業するため、どうしてもカウンターがメインになってしまう
オーナーの特異な人柄が、必然的にカウンターに人を集めるでしょう。

カウンターの天板はアッシュ材の突板を使い、まるで一枚板のようなダイナミックな風貌
周囲をアッシュの無垢板で囲うことで、上質で品のある雰囲気を出すことができたように思います。
このカウンターは、福岡の知る人ぞ知る的なデザイナーさんと家具家さんの合作。
流石ですね。



低めのカウンターの向こうにはスワン型の水栓金具が頭をのぞかせる


操作部分がカウンターの厚みで隠れて、鶴首だけが覗くように、極めてスマートな眺望と、実際に使用する際に作業がしやすいよう、高さのある吐水口を設けた

小型の電気温水器に接続された混合水栓と、水道水にだけ接続された単水栓のデザインに違和感がないようにと



カウンターに並ぶのは、フィリップ・スタルクのカメレオンチェア
背から座にかけてのゆるやかで美しいカーブが特徴
リラックスして深く腰掛け、これならオーナーとの長話にも耐えられそうなフォルム


カウンター下には野地板と呼ばれる、通常は屋根の下地などに使われるセメント板を貼った
靴があたってもお気になさらずに
ワイルドなその板を留めるのは、三角形の形状の溝が刻まれた上品なネジ
外したくても専用のビットがないと外せません。
だれも気付かないでしょうね


厨房を隠すように取り囲む壁を覆うのは、スウェーデンのボラスタペーターの壁紙
天井以外はすべて紙の壁紙を使い、簡単に一言でクロスと言うことはできません。
壁紙です


トイレから出て正面にはCERA TRADINGの商品で、こちらのデザイナーもフィリップ・スタルク
小ぶりでシンプルな手洗いであるにもかかわらず、非常に存在感があります


ホロフェーンのガラスランプがとても良く似合います。


何かわかりますか?

トイレのウォームレット用に、どうしてもコンセントが必要だったんです。
構造的に配線を壁の中に隠すのが難しく、いわいる露出配線でコンセントを取り付けなければなりませんでした。
よく使われているプラスチックのモールはどうしても使いたくなかったので、工場内とかで使われる金属製の露出用配管で施工しました。
コンセントプレートももちろんステンレス製です。


トイレの床は当初タイルを考えましたが、全体の雰囲気とコストと実用性を考えて、モルタルの金鏝仕上げの上に、クリアーの塗装を施しました。
男性のおしっこ対策で、床に染みこんでニオイのもととならないように、クリアー塗装はいい案だったと思います。
メンテナンスも簡単ですしね。


スイッチとコンセントは神保電器のNKシリーズを採用
シンプルでシャープな外観がいい
何気なく任せてしまいがちな器具ですが、仕上がりでかなり目立つ器具なので、気を使いたいところ


神保電器の器具に合わせて作られたアルミの鋳物プレート
バックの色や素材に合わせて7箇所だけアルミを使いました。
質感、素材感が良いです。


カウンターの上に並ぶペンダントライトは、フランス軍で使われていたランプシェード


陶器製のシーリングカバーを取り付けることで、さらなる魅力が引き出されます。

ライティングレールや引掛シーリングを使って取り付けることは簡単ですが、カウンターの位置やお客様の動きを考え、天井から配線を直接出すことで、この美しい組合せを楽しむことができます。


巾木
モールディングと呼ばれる装飾部材を使い、安易に白を使うのではなく、アイボリーへ塗装
質感と共に、古いままの床と新しい壁紙との調和をとるいい役目を果たしてくれると思う
もう少し汚れて欲しい


お客様が目にすることはないと思われる厨房内部
実験室用のシンク
実用性は?
ほぼ使うことは無いと思われるが、軽い洗い物用に設置。
ビーカーを使って珈琲をいれるようなことはないと思うが...


壁面の穴が開いたボードは、実用性を考慮してのもので、いろいろなものをフックで壁にかけられるようにとのオーナーのたっての希望でした。


もとバレー教室の面影を残して、昔の生徒さんがご来店した時に喜んで頂けるように、という課題をなんとかクリアできたかな?

写真に少し写っているカウンターの下の支えにも、かつてはバレリーナの足を支えたバーを利用させていただきました。




長い一本のステンレスのバーも、見かたを変えれば丸くつながっているんですね

懐かしくてやって来てくれるお客様が、楽しかったり辛かったりした、自分の存在を懐かしくも確信できる良いスペースに出来たんではないかと思います。
壊して造り替えるのもまた一つ、想いを繋ぐのもまた一つ
いい勉強をさせてもらいました

以前ご紹介させていただいたカフェの工事ですが、オーナーさんがブログを始められましたので店名と住所をご案内します。
ぜひ足を運んでみて下さい。


OTIANO(オティアーノ)
Coffee & Somethingeise
福岡市中央区草香江2丁目2−32 1F
Open 11:00 - 18:00
Close Sunday & Holidays
Tel 080-8394-2005
Blog http://otiano.blogspot.jp/


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